過敏性腸症候群の原因
はっきりとした原因が分かっていませんが、消化管の機能異常と知覚過敏が原因と指摘されています。また、過度のストレスが症状悪化につながるとも言われています。
過敏性腸症候群になりやすい要因
年齢
男性は30~40代、女性は20~50代の方に多く見られます。最近では10代の方も増加傾向にあります。
体質
ストレスの影響で体調が変化しやすい方は、発症しやすいと言われています。また、遺伝的要因や生活習慣も関与しているといわれています。
発症しやすい性格
真面目な方に発症しやすい傾向があります。個人によって、排便の頻度は異なります。食事や環境の変化等が排便に影響を与えます。あまり意識せずに、過ごすように心がけましょう。
過敏性腸症候群の検査
大腸疾患のほとんどが腹痛や腹部不快感、便通異常などを生じます。そのため、各疾患を鑑別する必要があります。大腸カメラ検査を用いて、鑑別を行います。特に問題が見つからない場合は、過敏性腸症候群を疑います。Rome基準といわれる診断基準を用いて、診断を行っていきます。
RomeⅣ基準
大腸カメラを行い、器質的病変がない場合は、世界的に標準化されたRomeⅣ基準(過敏性腸症候群の診断基準)を用いて診断します。
過去3カ月間で、
- 排便することで症状が緩和する
- 症状の有無により排便回数が変化する
- 症状の有無に寄り便の状態が変化する
上記のうち、2つ以上が当てはまり、腹痛や不快感が一ヶ月に3日以上起こった場合に医師が診断します。
過敏性腸症候群の治療
完治に導く治療法というよりは、寛解期に導く治療を行います。症状が完全に消失することは難しいですが、症状を緩和して良い状態を長く維持できるよう、病気と上手に付き合っていくという意識が大切です。
生活習慣の改善
栄養バランスのとれた食事を決まった時間に規則正しく3食とり、身体のリズムを整えるようにしましょう。また、刺激物や暴食暴飲は消化器症状を悪化させる原因になりますので、できるだけ避けるようにしてください。
適度な運動を行い、十分な睡眠時間をとることも大切です。ストレスを発散できる趣味を持つこともお勧めです。無理なくできることから始めていきましょう。
薬物療法
患者様の症状に合わせて、お薬を処方します。蠕動運動など消化管の働きを整える薬、腸内環境を整える薬、便中の水分量などを整える薬などがあります。
薬の効果を確認しながら、調整することで最適な処方につなげられます。また、ストレスの関与が強い場合は、抗不安薬や抗うつ剤で改善することもあります。